i-Construction「ICT の全面的な活用工事」現場レポート
ICT の全面的な活用による土木工事「i-Construction」が、ここ北海道釧路市で本格的にスタートした。
i-Construction
ICT の全面的な活用、規格の標準化、施工時期の平準化等の施策を建設現場に導入することによって、建設現場のプロセス全体の最適化を図る取り組みであるi-Construction(アイ・コンストラクション)を国土交通省は、平成28年4月1日より提唱している。
ここ、北海道釧路市にある釧路外環道路新設工事で6月1日から本格的にスタートした。
ICT の全面的な活用工事「i-Construction」を導入
小針土建株式会社様は、北海道標津郡を拠点に陸上施工と海上施工を主とし、地域の発展に貢献しながら、創業95年を迎えた総合建設業者である。同社は今回大規模な道路改良工事を受注、ICT の全面的な活用による作業を効率化すべく、ICT土工「i-Construction」をいち早く導入した。
会社名 小針土建株式会社
所在地 北海道標津郡中標津町
設 立 1950年5月
売上高 19億3458万円(平成27年度)
事 業 土木・建築・舗装・造園・水道設備工事など
U R L http://www.kohari.co.jp/

土木本部技術主任 現場代理人 渡辺 篤司氏
こちらはどのような現場でしょうか。
渡辺氏「釧路外環状道路 (釧路東~釧路別保)は、道東自動車道とともに高速ネットワークを形成し、釧路市街における交通混雑及び交通事故の低減による道路交通の定時性、安全性の向上を目的とした延長7㎞の一般国道の自動車専用道路です。この国道44号線の道路新設事業で道路土工(岩掘削・切土)・排水構造物工・法面工が主な土木工事です。」
ICT油圧ショベルMC「ブレーカ付」を採用した理由を教えてください。
渡辺氏「難易度が高い硬岩掘削と法面整形にMC油圧ショベル「油圧ブレーカ付」を活用した理由、KOMATSUのPC200iは作業機「ブーム・アーム・バケット」にチルトセンサーがなく、油圧ストロークセンサーを採用しているため、ブレーカ作業時に発生する打撃振動を受けても影響がなく、作業を停止しなくてもリアルタイムに高低差がわかる。作業効率は向上すると思い採用しました。」

土木本部工事次長 監理技術者 岩谷 誠氏
ICT油圧ショベルMCを導入した経緯をご紹介ください。
岩谷氏「当初、驚いたのは過堀防止機能「セミオート」でした。本工事は、硬岩掘削工のため、岩を過掘りすぎないように注意する必要があります。堀りすぎてしまった場合はコンクリートで充填する以外になく、そうした場合には多額の費用もふくらみます。従来は作業員が掘削する重機と共に法面の上部から丁張をにらみ、オペに合図を送り少しずつ削っていくため、作業員とオペの技量により出来栄えは変わる。出来栄えと過堀りのを両方の悩みを解決してくれると判断し、導入することにした。」
オープンプラットフォーム「KomConnect」を活用した感想を聞かせて下さい。
岩谷氏「日々の進捗状況(掘削量)が即座にわかり非常に便利だと思います。だいたいの目安で行われてきた時代はもう終わりだと感じています。この現場に至っては、排水工等の手作業が必要な工種以外には作業員がいません。一概にはいえませんが、検測作業が減少することで「重機等の接触事故の危険性も減る」そんな不安を一つ一つを解消してくれる新技術だと思います。」
i-Construction「ICT活用工事」」とは、建設生産プロセスの下記「5つの段階」において、ICTを活用する工事である。
①3D起工測量「UAV・LS等による3D測量」

Laser Scanner GLS-2000

オルソ画像
着工前に「3D地形データ」を作成するため3D起工測量が必要となる。ここでは、高精度な3D測量が出来るTOPCON製を採用、6000平米を数時間で測量。 取得した大量の点群データは、専用ソフトで解析してオルソ画像等で確認した後コムコネクトにつなぐ。
② 3D設計データ作成「設計データ & 地形データ」

設計データ

設計データと地形データ比較
平面図・横断図・縦断図を基に「3D設計データ」を作成する。また、3D起工測量で取得し作成した3D地形データと3D設計データを比較することで切り土量・盛り土量と箇所までも正確に把握することが出来るため施工計画の立案が容易である。
③ ICT建設機械による施工「インテリジェントマシンコントロール」
「硬岩」掘削では、0.8m3油圧ショベルMCと0.8m3油圧ショベルMC「ブレーカ仕様」を採用。どちらもICTを搭載、キャブ内のモニタにはリアルタイムに位置や高さが表示され、丁張や合図する作業員は不要となり、より安全に工事を進められる。作業の効率は飛躍的に向上した。
④3D出来形管理等の施工管理「オープンプラットフォームKomConnect」

3Dで進捗確認

任意断面で進捗確認
施工中、ICT建機から送られてくる掘削情報をKomConnecへつなぎ、進捗・土量・出来形がリアルタイムに自動更新され、事務所のパソコンや現場でタブレットを活用して3D施工管理ができる。安全でスマートな工事を進めて行くことが可能となった。
⑤ 3Dデータの納品「UAV・LS等による3D測量」

UAV

帳票(ヒートマップ)
施工完了時の出来形計測には、UAV・LS等で3D測量する。取得した写真や点群データを解析して3D完成データを作成する。3D設計データと3D完成データをコムコネクト等で比較して合否判定したのち帳票を作成する。3D完成データと帳票を納品して完了となる。
用語解説
i – Construction (アイ・コンストラクション)とは
ICT(情報通信技術)などを積極活用し、より進んだ革命的な建設生産システムを構築するため「測量・設計・施工計画・施工・検査の全プロセスを3次元データでつなぐ」に前提とした新基準を2016年度から試行すると国土交通省は表明し、この取り組みをi – Construction(アイ・コンストラクション)と言う。今後、直轄事業を中心に推進していく。 このことをKOMATSUでは、『Smart Construction 』(スマート・コンストラクション)と言う。
KomConnect(コムコネクト)とは
現場の見える化を実現した建設現場のオープンプラットフォーム型アプリケーションです。現場に携わるすべての人・モノ(機械、土など)についての情報をICTでつなぐことで、お客様の現場を「見える化」することができます。 事務所のPCはもちろん、スマートフォンやダブレットからもアクセスでき、リアルタイムの情報や蓄積された過去の情報をいつでも活用できます。
ICT技術開発室